京都府京丹後市は2025年より、認知症患者及びその家族をサポートするため、AIベースのチャットボットの導入を開始する。これは認知症ケアに特化した全国で初の試みとされている。市の関係者は「ユーザーフレンドリーなサポートシステムを通じて、初期段階での適切な介入が可能になり、症状の改善や進行の防止に寄与することを期待している」と述べている。
このプロジェクトは、認知症患者の経験を直接反映させた「認知症世界の歩き方」の著者である慶応義塾大学の特任教授、筧裕介氏との共同開発によるものである。この書籍の内容を基に、市が持つ認知症関連のデータや相談情報をAIに学習させ、利用者が問題を入力すると、AIが対話形式で具体的なアドバイスや情報を提供する。
市によると、既存の認知症情報は医療や介護の専門家の視点からのものが主流で、患者自身の視点による内容は少ない。新しいチャットボットの導入によって、患者や家族が直面している問題に対して、より個別化されたサポートが提供できるようになるという。
市関係者は「チャットボットを使うことで、患者や家族が直面する問題について気軽に、そして個人的なことを共有することができる。面と向かっては話しにくいこともAIなら問題なく話せるため、多くの人々が恩恵を受けることができる」と期待を示している。
チャットボットのサービスは2025年4月の開始を予定しており、市議会には必要な予算276万円の追加を求める2024年度の補正予算案が提出された。