アマゾンの最高技術責任者であり副社長でもあるヴァーナー・ボーガス氏は、2024年6月に千葉の幕張メッセで開催された「AWS Summit Japan 2024」でこのように述べた。このイベントは「AWSと共に創る未来」というテーマのもと、日本のAWS関連のトップ幹部や業界リーダーが一堂に会した場であり、ボーガス氏が日本での年次イベントに登壇するのはこれが初めてだ。
この基調講演では、特に最近の注目を集めている生成AIをはじめとするAI技術のビジネスや経営への応用方法についての議論が行われた。ボーガス氏は、AI技術の根底に返る必要性を強調し、人工知能の研究のパイオニア、ジョン・マッカーシーの言葉を引用してその話を始めた。
ボーガス氏は、「AIは数十年にわたる研究と発展の末、今や私たちの生活に密接に結びついている。自動画像認識や予測システム、推薦アルゴリズムなどがその例であり、これらはもはや一般にAIとは呼ばれなくなっている」と説明した。
さらに彼は、AIと自動化の概念が歴史的にどのように発展してきたかを語り、古代の哲学者から現代の科学者に至るまでの知識の連続性を強調した。「ソクラテスやプラトン、アリストテレスは、機械が人間の作業を代替することで、人間の能力が向上する可能性について考察していた。プラトンは人型ロボットが家事を行うビジョンを描いていた」とボーガス氏は述べた。
そして、20世紀に入ってコンピュータ技術が誕生し、「人間の脳の模倣」というアイデアが研究され始めたことを紹介。特に、アラン・チューリングが提唱した「チューリングテスト」を例に挙げ、AI技術の根本的な問いについて触れた。このようにして、ボーガス氏はAIがどのようにして現代の形に進化してきたのか、その歴史的背景を解き明かしていった。
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